物流倉庫のロボット導入事例【2026】人型ロボットと荷役ロボットの最新動向

物流倉庫で人型ロボットやケースピッキングロボットはどこまで使われているのか。GXO・DHL・トヨタ・BMWなど海外の事例と、東電物流・アスクル・カインズ・羽田空港など国内の事例を、本番運用か実証かの段階つきで整理しました。人型と専用機の選び方も解説します。
人手不足が続く物流の現場ではロボットの導入が一気に進んでいます。話題になるのは人型ロボットですが、すでに本番で大量に動いているのは箱の荷下ろしやピッキングに特化した専用ロボットです。
この記事ではPhysical AI Laboのカタログに載せている事例から物流に関わるものを抜き出し本番運用か実証かの段階をつけて整理します。
物流でロボットに任されている4つの作業
| 作業 | 内容 | 主なロボット |
|---|---|---|
| 荷下ろし・デパレタイズ | トラックやパレットから箱を下ろす | Boston Dynamics Stretch・Mujinのデパレタイザー |
| ケース・ピースのピッキング | 注文に合わせて箱や商品を取り出す | MujinRCP・Mujinのピースピッカー |
| トートの運搬 | 棚やコンベアの間で箱を運ぶ | Agility Robotics Digit |
| 部品の仕分け・並べ替え | 部品を取り出して台車に順番に並べる | Figure 03 |
海外の事例
| 事例 | 機体 | 内容 | 段階 |
|---|---|---|---|
| GXO(米国・SPANXの倉庫・2024年) | Digit | トートの運搬をRaaS(月額利用)で運用 | 本番運用 |
| トヨタ自動車カナダ(2026年) | Digit | 約1年のパイロットを経て商用契約。報道では7台 | 本番運用 |
| DHL(北米・2025年) | Stretch | 2023年の導入に続き1,000台超の追加で覚書。ケースピッキングへ広げる | 本番運用 |
| BMW(米国スパータンバーグ工場・2026年) | Figure 03 | 部品を大型容器から取り出してシーケンシング台車に並べる | 導入を発表 |
| Ultra(米国・2026年) | 双腕ロボット(AIはPhysical Intelligence) | 4州で50万件超の注文を梱包したと報道 | 本番運用 |
海外では人型ロボットも月額で借りる形(RaaS)で倉庫に入り始めています。公表されている台数はまだ少なく、大量に動いているのはStretchのような専用機です。
画像Digit
トート(コンテナ)の運搬・積み下ろし、パレタイズ、ライン供給などを担う二足歩行ヒューマノイドです。主にRaaS(サブスクリプション)で提供され、クラウド管理基盤Arcで運用します。
画像
画像Figure 03
Figure 02の後継となる第3世代ヒューマノイドです。触覚センサーと手のひらカメラ付きのハンド、ワイヤレス充電、音声対話、柔らかい外装を備えます。BMWでは2026年6月から部品の順立て(シーケンシング)を担い、Catalyst Brandsとも契約しています。2026年4月時点で350台超を出荷しました。
国内の事例
| 事例 | 機体 | 内容 | 段階 |
|---|---|---|---|
| 東電物流(東京都大田区・2026年) | MujinRCP | アームと17台のAGVを統合制御。ケース品の取扱量の90%を自動化し作業人員を4人から1人に | 本番運用 |
| アスクル(大阪府) | Mujinのピースピッカー | EC物流センターで多品種の商品をピッキング | 本番運用 |
| カインズ(千葉県) | Mujinのデパレタイザー | 高さ2.3mまでの混載パレットを荷下ろし | 本番運用 |
| ファンケル(大阪府門真市) | Mujinのデパレタイザー | 段ボールとコンテナの両方を1台で荷下ろし | 本番運用 |
| 牧野技術サービス(2021年) | 川田ロボティクス NEXTAGE(双腕) | 保守部品の倉庫で自動走行の棚から部品をピッキング | 本番運用 |
| 東京納品代行(千葉県市川市・2025年) | AgiBotのヒューマノイド | 自動倉庫から流れるケースから荷物を取り出す。事前検証で成功率97% | 試験導入 |
| 羽田空港(2026年5月〜2028年) | Unitree G1・UBTECH Walker E | JALグランドサービスとGMO AI&ロボティクス商事が地上業務で実証。最初はコンテナ移送の一部作業から | 実証 |
国内では荷下ろしやピッキングの専用ロボットが本番で稼働しています。双腕のNEXTAGEで部品倉庫のピッキングを自動化した例(2021年)もあります。二足や車輪型の人型ロボットは2025年から試験導入や実証が始まった段階です。
人型ロボットと専用ロボットの選び方
どちらが良いかは作業によって決まります。
- ・専用ロボットが向く:作業が1つに決まっていて量が多い(荷下ろし・ケースピッキングなど)。速さと安定性で専用機が勝ちます
- ・人型ロボットが向く:人と同じ通路や棚・台車をそのまま使いたい。設備を作り替えずに複数の作業を任せたい
- ・まず確かめる:人型ロボットは成功率や1回あたりの時間が現場で大きく変わります。1つの工程でPoCをして数字で比べるのが確実です
導入を決める3つの判断軸
業務に合っているか
人の動線・例外処理・既存設備。カタログに載らない現場の条件から適合を確かめる
総額で効果が見込めるか
本体価格に加え実装・認証・保守まで含めて比べ、効果の測り方を先に決める
止まったときに戻せるか
故障時の窓口・部品の調達・復旧手順・保守範囲を契約前に決めておく
物流でロボット導入を進める手順
最初から大量に入れる必要はありません。現場を知り小さく確かめてから広げます。
小さく確かめてから広げる3段階
現場診断
自動化できる工程と制約を整理し、概算の費用と効果を出す
目安 1〜3週間1拠点・1台の実証
選定から実装まで進め、実際の業務で効果を測る
目安 2〜6か月複数拠点への展開
実証の結果をもとに運用を標準化して広げる
結果を見て判断倉庫ではまず現場を3Dで再現し通路幅・棚の高さ・荷物の置き場を確かめます。候補の機体を3Dの現場で動かしてから実機のPoCに進むと手戻りが減ります。詳しい流れはロボット導入の進め方をご覧ください。
よくある質問
物流倉庫で人型ロボットは本番で使われていますか?
海外ではGXOやトヨタ自動車カナダがAgility RoboticsのDigitを月額利用の形で運用しています。国内では二足や車輪型の人型ロボットの試験導入や実証が2025年から始まっています。
日本の物流でロボットを入れている企業はありますか?
東電物流・アスクル・カインズ・ファンケルなどがMujinのロボットでピッキングや荷下ろしを自動化しています。東電物流ではケース品の取扱量の90%を自動化したと報じられています。
人型ロボットと専用ロボットはどちらを選べばよいですか?
1つの作業を大量にこなすなら専用ロボットで、人と同じ設備を使って複数の作業を任せたいなら人型ロボットが候補です。現場の条件で結果が変わるため1つの工程でPoCをして比べるのがおすすめです。
出典
- ・GXO:SPANXの倉庫でのDigit
- ・Automate:トヨタ自動車カナダのDigit導入(2026年)
- ・Boston Dynamics:DHLが1,000台超の追加導入で覚書(2025年5月)
- ・The Robot Report:BMWがFigure 03を導入(2026年6月)
- ・AI Weekly:UltraとPhysical Intelligence(2026年)
- ・LNEWS:東電物流でMujinRCPが稼働(2026年6月)
- ・Mujin:アスクルの導入事例
- ・Mujin:カインズの導入事例
- ・Mujin:ファンケルの導入事例
- ・LNEWS:市川市の物流施設でヒューマノイドを公開(2025年10月)
- ・Impress Watch:羽田空港の人型ロボット実証(2026年4月)
この記事で紹介したロボット
画像Digit
トート(コンテナ)の運搬・積み下ろし、パレタイズ、ライン供給などを担う二足歩行ヒューマノイドです。主にRaaS(サブスクリプション)で提供され、クラウド管理基盤Arcで運用します。
画像
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画像Figure 03
Figure 02の後継となる第3世代ヒューマノイドです。触覚センサーと手のひらカメラ付きのハンド、ワイヤレス充電、音声対話、柔らかい外装を備えます。BMWでは2026年6月から部品の順立て(シーケンシング)を担い、Catalyst Brandsとも契約しています。2026年4月時点で350台超を出荷しました。