ヒューマノイド導入費用の内訳|本体以外に何がかかる?

人型ロボット(ヒューマノイド)の導入費用を「本体・周辺・システム構築・輸入・保守」に分けて解説します。大学の調達額や保守費の試算、レンタル料金など出典のある実例をもとに、見積で見落としやすい費用と費用対効果の考え方をまとめました。
「人型ロボットはいくらで導入できるのか」という質問には、本体価格だけでは答えられません。現場で動かすまでには、本体のほかに周辺機器・システム構築・輸入・保守の費用がかかるからです。この記事では費用の内訳と、見積で見落としやすい点を整理します。
導入費用は5つに分けて考える
お見積りに含まれる費用
機体
購入・レンタル・月額
輸送・輸出入
運送・保険・通関・据付
認証・安全
適合性の確認・安全設計
システム実装
開発・設備連携・検証
現場定着
教育・手順書・稼働評価
保守
対応範囲・部品・復旧
本体価格はあくまで入口です。たとえば東北大学は2024年9月にUnitree G1の研究開発向け一式を6,605,500円、大阪大学は2024年10月に上位構成の一式を10,429,100円で調達しています。同じ機種でも、構成と付属品で総額が大きく変わることが分かります。
1. 本体価格の相場
人型ロボットの本体価格は、小型機の約74万円から、工場向けの双腕・車輪型の2,000万円超まで幅があります。最新の一覧は人型ロボットの価格一覧にまとめています。
ヒューマノイド・車輪型ヒューマノイドの価格の目安(円換算・安い順)
- R1 ・Unitree Robotics約74万円〜158万円
- Booster K1 ・Booster Robotics約84万円〜
- PM01 ・EngineAI約185万円
- Astribot T1 ・Astribot約189万円〜
- G1 ・Unitree Robotics約203万円〜323万円
- Booster K1 Pro ・Booster Robotics約275万円〜
- NEO ・1X Technologies約300万円〜
- Oli ・LimX Dynamics約332万円〜
- T800 ・EngineAI約378万円〜
- AgiBot X2 (Lingxi X2) Neo / Ultra ・AgiBot約384万円〜
- ATOM ・DOBOT約418万円〜
- H2 ・Unitree Robotics約449万円〜
- Booster T1 ・Booster Robotics約570万円〜1,003万円
- Luna ・LimX Dynamics約626万円
- Tiangong Walker (Walker Tienkung) ・UBTECH Robotics約628万円〜
- KUAVO 4 Pro / KUAVO 5 ・Leju Robotics約647万円〜
- AgiBot A2 Lite (Yuanzheng A2) ・AgiBot約668万円〜
- R1 Pro ・Galaxea AI約1,050万円
- Astribot S1 ・Astribot約1,050万円〜
- AgiBot G2 ・AgiBot約2,294万円〜
- Walker S2 ・UBTECH Robotics約3,699万円
注意したいのは、研究や業務の開発に必要な「EDU版」「二次開発版」が標準版より高く、要見積になることが多い点です。
2. 周辺機器の費用
- ・ハンド(手先):物をつかむ作業には専用のハンドやグリッパーが必要です。標準では付いていない機体があります
- ・充電設備・予備の電池:稼働時間は2時間前後の機体が多く、長く動かすには交換用の電池や充電の仕組みが要ります
- ・安全のための設備:人の近くで動かす場合は、センサーや区画の設計が必要になることがあります
- ・ネットワーク:外部への通信を止めて閉じたネットワークで動かす場合は、その構築費がかかります
3. システム構築・アプリ開発の費用
ロボットに業務をさせるには、動作のプログラムや画像認識の調整、既存システム(倉庫管理や生産管理)との連携が必要です。この部分は現場によって大きく変わるため、多くの場合は個別見積になります。まず1つの工程でPoC(実証)を行い、効果を確かめてから広げると、無駄な開発を減らせます。
4. 輸入にかかる費用
- ・国際送料(AgiBotの公式ストアでは送料500〜3,000ドルの実費と案内)
- ・輸入時の消費税と、HSコードによっては関税
- ・技適の確認・取得の費用(取得には約30万円・1〜2か月という指摘もあります)
手順は中国製ロボットの輸入ガイドで解説しています。
5. 保守と運用の費用
海外製の機体は、故障したときに部品やメーカーの対応を待つ時間が長くなりがちです。UBTECHの正規代理店を名乗るGA Roboticsは、年間の保守費を本体価格の約25%と試算しています。保守の範囲・対応時間・部品の在庫を契約前に決めておくことが大切です。
買う前にレンタルで試す方法
まず動きを確かめたい場合は、レンタルという選択肢もあります(いずれも2026年11月時点の各社の案内)。
| サービス | 対象 | 料金の目安 |
|---|---|---|
| BotSharing JAPAN | AgiBot X2 Ultra | 6万円/日から(税別) |
| Robo Renta | Unitree G1 | 1泊2日で5.5万円(税込) |
| EmplifAI | Unitree G1 | 1日5万円から |
展示やイベントにはレンタル、業務への組み込みを確かめるならPoCと使い分けると無駄がありません。
費用対効果の考え方
費用対効果は「ロボットに任せる作業の時間」と「その作業にかかっている人件費」から考えます。ただし人型ロボットは人と同じ速さで作業できるとは限りません。PoCで実際の作業時間・成功率・止まった回数を測り、その数字で判断するのが確実です。国の補助金が使える場合もあります(ロボット導入の補助金2026)。
小さく確かめてから広げる3段階
現場診断
自動化できる工程と制約を整理し、概算の費用と効果を出す
目安 1〜3週間1拠点・1台の実証
選定から実装まで進め、実際の業務で効果を測る
目安 2〜6か月複数拠点への展開
実証の結果をもとに運用を標準化して広げる
結果を見て判断よくある質問
人型ロボットの導入費用は総額でいくらですか?
用途と構成で大きく変わるため一概には言えません。大学の研究開発向けの調達例では、同じUnitree G1でも一式で約660万円から約1,043万円の幅がありました。業務で使う場合はシステム構築と保守が加わります。
本体以外で一番かかるのは何ですか?
現場によりますが、業務に合わせたシステム構築・アプリ開発と、導入後の保守が大きくなりやすい費用です。保守費は本体価格の約25%という試算もあります。
小さく始める方法はありますか?
レンタルで動きを確かめるか、1つの工程・1台のPoCから始める方法があります。デジライズは現場の訪問と3Dマッピングで事前に検証してからPoCに進む進め方をおすすめしています。
この記事で紹介したロボット
画像
画像AgiBot X2 (Lingxi X2) Neo / Ultra
身長約1.31mの小型ヒューマノイド。Neoは演出・対話向けで二次開発非対応、Ultraは31自由度でセンサーと開発機能を加えた上位構成。
画像R1 Lite
6自由度アーム2本を備えた汎用モバイルマニピュレーション機。Physical Intelligenceのπ0.5の開発基盤にも使われた。